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不確かな あらすじ

 残留孤児三世の佐々木春(李春)は、幼少時代を日本で過ごしていたが、11歳の頃、中国黒龍江省ハルビンの私立学校に留学した。春が転校した「徳強小学校」では、歴史の授業で「抗日戦争」の内容が教えられていたこともあり、春は学校中の生徒たちの目の仇にされてしまう。周囲の生徒たちからの容赦なき差別を受け続ける中、春のクラスメイトでもあり、ルームメイトたちだけは、日本人というレッテルを余所に、そんな春を「友達」として受け入れてくれた。 

 日中間に根付く歴史が原因で差別の対象となった春は、次第に日中の「過去」を知ることとなる。同時に、在日二世である両親との隔たりや、周囲の友達と自身との違いに悩み、葛藤し、自分の存在意義にさえ疑問を抱くようになる。

 仲間との出逢い、日本人を憎しむ者との衝突、中国人との恋、親との対立、歴史との直面。激動のハルビンでの留学生活の最後は、日本人である春を恨ましいと想う者の企てにより、突如終わりを迎えることとなる。

 その後日本へ帰国し六年の歳月が過ぎた頃、春は在日中国人たちと出会う。そこにもまた、歴史が残した両国民間に潜む根深い溝が存在していた。日本での生活に落ち着いていた春であったが、再び中国へ気持ちを馳せるようになり、北京の大学へと入学する。

 そこで、自身と似通った生い立ち背景を持つ「日籍華僑」と呼ばれる仲間と出会う。彼らと共に過ごす日々の中、春はようやく自身の存在意義に一つの答えを見出す。しかしそんな中、日中の政治的問題により、とある事件に巻き込まれてしまった春は、中国から「強制退去」を告げられてしまう。

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