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第六章 「理解∼二世と三世」

  外部進学してきた生徒たちや、上級生からまたしても「日本人」という理由で、よくケンカを仕掛けられたが、その都度、董巍や劉帥といった小学校からの仲間と共に対抗した。この頃の春の周りには常に多くの仲間がいた。そして、春は同じクラスの孫小蕊に恋心を抱く。二人が惹かれ合うようになった頃、春の両親が生活の拠点をハルビンに移した。そして、孫小蕊との交際が親の耳に入ってしまう。また、それまでずっと春に想いを寄せてきた時一婷は、春と孫小蕊との関係を妬み、ある思惑を企てるのであった。

  恋愛禁止、学業優先の環境の中、先生や親は二人を引き離そうとした。それまで、春の不自由な中国語に加え、仕事で忙しかった親と言葉でコミュニケーションを充分に取ることができなかった春は、ここへ来て、自身の生い立ちの中で生じた葛藤を全て親にぶつけてしまう。日本の社会に適応しようと必死に働いてきた在日二世の両親と、「中国」という背景にずっと引け目を感じ日本で育った三世の春との間の溝は、更に深まってしまう。 

  春は親から逃げるようにして毎週末仲間と遊び惚けるようになる。そしてある日、他校へと進学した馬志鵬と偶然再会する。そこで、春は馬志鵬に復讐すると宣言されるのであった。

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